ヴィシュヌ(विष्णु, Viṣṇu, Vishnu) --自己紹介

時には化身となりて 地上に降り立つ
クリシュナやラーマ 人間の姿で
正義と愛を伝える
青き肌に輝く四つの手
貝や円盤 棍棒や蓮
鳥のガルダ 美しき妃
私の力と仲間たち
三歩で跨ぐ全宇宙
無限の力を持つ
それでも優しく微笑む
慈愛に満ちた神
これが私の自己紹介です。

さすがヴィシュヌさん、きれいに詩のように自己紹介をしてくれました。
解りやすく、私が説明しましょう。
ヴィシュヌ神は、ヒンドゥー教の三位一体の一柱で、世界の維持と繁栄を司ります。様々な化身を使って地上に現れ、人々に正義と愛を教えます。ヴィシュヌ神の化身(注1)の中で有名なものには、クリシュナやラーマがあります。彼らはそれぞれインドの古典『マハーバーラタ』や『ラーマーヤナ』に登場します。
ヴィシュヌ神は青い肌で4本の腕を持ち、手にはシャンカ(貝)、チャクラ(円盤)、ガダ(棍棒)、パドマ(蓮)などの象徴的な武器や装飾品を持ちます。これらは力と知恵と美しさと富を表しています。また、鳥のガルダを乗り物とし、女神ラクシュミーを配偶神としています。彼女はヴィシュヌ神の妃であり、幸運と豊穣と繁栄の女神です。
ヴィシュヌ神は全宇宙を3歩で闊歩したトリヴィクラマ(三界を跨ぐ者)という化身でも知られています。(この事については、下記にて説明します。)
ヴィシュヌの化身にはどんなものがあるの? 
ヴィシュヌの化身には、様々な動物や人間の姿があります。一般に、10の化身が最も有名で、ダシャーヴァターラ(十化身)と呼ばれています。その10の化身は以下の通りです。マツヤ(魚):大洪水から人間の始祖マヌとヴェーダ(聖典)を救った。
クールマ(亀):神々と魔族が不死の霊薬アムリタを求めて乳海をかき混ぜた時、蛇神ヴァースキを支えた。
ヴァラーハ(猪):大地を海に沈めた魔族ヒラニヤークシャを倒し、大地を引き上げた。
ナラシンハ(人獅子):ヒラニヤークシャの弟である魔王ヒラニヤカシプを引き裂いた。
ヴァーマナ(侏儒):世界を征服した魔王バリから3歩分の土地を請求し、巨人に変身して天と地と冥界を歩いた。
パラシュラーマ(斧を持ったラーマ):人々に暴虐な振る舞いをしたクシャトリヤ(貴族・武人階級)を斧で滅ぼした。
ラーマ(アヨーディヤーの王):妻シーターを誘拐した羅刹王ラーヴァナと戦った叙事詩『ラーマーヤナ』の主人公。
クリシュナ(黒い肌の神):パーンダヴァ五兄弟の友人・導き手として叙事詩『マハーバーラタ』や『バガヴァッド・ギーター』に登場する英雄。(肌の色は黒または暗い色とされていますが、最近では青い色が多くなってきています。)
ブッダ(覚者):仏教の始祖で、悟りに至った釈迦。魔族に仏教を教えて改宗させ、神々の力を増したとも言われる。
カルキ(白馬に乗った英雄):終末の時代カリ・ユガの最後に現れて世界を更新すると予言される化身。
これらがヴィシュヌの10の化身です。他にも多くの化身がありますが、ここでは割愛します。
トリヴィクラマ(三界を跨ぐ者)について 
ある時、魔王バリは世界征服に成功し、自分が最強で最高だと思っていました。しかし実は彼は神々から恵まれていただけでした。彼は神々に対しても敬意を払わず、自分勝手なことばかりしていたのです。ある日、彼の宮殿に小さな僧侶がやってきてバリに対して
「私はあなたに感心しています。あなたは世界中から何でも手に入れられますね。私はただ3歩分だけ土地が欲しいのですが、あなたはそれをくださいますか?」
と尋ねました。
バリはこの僧侶に「3歩分だけなら何でもあげよう。私はそんなものに困らない」と言って、僧侶に土地を与えることを約束しました。
すると、僧侶は突然巨人に変身。彼は1歩目で地上界を、2歩目で天界を歩きました。そして、3歩目には冥界を歩こうとしましたが、そこにはもう何も残っていませんでした。バリは自分の失敗に気づき、恐怖に震えました。
僧侶はバリに言いました。
「私はヴィシュヌである。あなたは自分の力ではなく、神々の恵みによって世界を征服したのだ。だから、神々に感謝しなさい。そして、世界を平和に治めなさい。そうすれば、私はあなたを許すだろう」
バリはヴィシュヌの言葉に従い、神々に謝罪し、世界を正しく治めることを誓いました。ヴィシュヌはバリの態度に満足し、彼を許し、ヴィシュヌは再び小さな僧侶の姿に戻って姿を消しました。