どうして赤唐辛子をレッドペッパーって言うの?

🌶️「Red Pepper」と呼ばれるようになった理由
〜スパイスの海を渡った、赤い実の物語〜
どうぞ!!
昔々、世界がまだ“香り”でつながっていた時代。
スパイスは金にも勝る価値を持ち、胡椒一粒が宝石のように扱われていた頃のことです。
その頃、ヨーロッパの人々は「pepper(ペッパー)」といえば、インドから運ばれてくる黒胡椒のことを指していました。
小さくて黒くて、ピリッと辛い。料理に魔法をかける粒。それが“pepper”のすべてだったのです。
ところが15世紀の終わり、コロンブスが新大陸に到達すると、彼の目に飛び込んできたのは、鮮やかな赤い実。
現地の人々が料理に使っていたその赤い果実は、見た目こそ胡椒とは違えど、口にすれば同じように舌を刺激する辛さがありました。
コロンブスはそれを「新しい種類のペッパー」と思い込み、こう呼びました。
“ Red Pepper ” ―― 赤い胡椒。
もちろん、植物学的にはまったく別物。
黒胡椒は「コショウ科」、唐辛子は「ナス科」
でも、当時のヨーロッパ人にとっては「辛い=pepper」だったのです。
そのため、唐辛子は「red pepper」「chili pepper」「hot pepper」など、既存の“ペッパー”の語彙を借りて呼ばれるようになりました。
そしてこの“赤いペッパー”は、瞬く間に世界中へ広がっていきます。
ポルトガル人がインドへ、スペイン人がフィリピンへ、オスマン帝国がバルカン半島へ。
唐辛子は、どこへ行ってもその土地の料理に溶け込み、名前も姿も変えながら、地球を一周する旅を続けました。
日本にやってきたのは、16世紀。
南蛮貿易の時代、ポルトガル人が持ち込んだとされ、「南蛮胡椒」と呼ばれました。
ここでも「胡椒」という言葉が使われているのが面白いですね。
つまり、「red pepper」という呼び名は、
“辛さ”という感覚を中心に、言葉が文化を越えて形を変えた証なのです。
見た目ではなく、味覚が言葉を導いた。
それはまるで、舌が世界地図を描いたような話。
今では「red pepper」といえば、辛い唐辛子を指すこともあれば、甘いパプリカを指すこともあります。
言葉は旅をし、意味を変え、そしてまた新しい料理の中で生き続けるのです。

🌶️ 英語での「唐辛子」の言い方とニュアンス
chili pepper -----
一般的な「唐辛子」。辛い種類を指すことが多く、アメリカ英語でよく使われます。
hot pepper -----
辛さを強調した言い方。辛い唐辛子全般に使われます。
red pepper -----
赤い唐辛子のこと。ただし、文脈によっては「パプリカ(甘い赤ピーマン)」を指すことも。
chili -----
単体で「唐辛子」や「チリコンカン(料理)」の意味になることも。
capsicum -----
イギリスやオーストラリアでは「ピーマン」や「パプリカ」など甘い種類も含む言い方。
たとえば、料理で「唐辛子を入れる」と言いたいなら
“Add some chili pepper for heat.”
“Slice a red pepper and sauté it.”(この場合は甘いパプリカかも)