ベトナム モン族の古布
:心温まる手仕事の物語

ベトナムの山々には、色とりどりの民族が暮らしています。その中でも、モン族の人々は、古くから独自の文化と暮らしを大切にしてきました。そして、彼らの心を込めた手仕事の結晶が、美しい「古布」として今も私たちの目を楽しませてくれるのです。
この古布は、ただの布ではありません。モン族の女性たちが、長い時間をかけて、一枚一枚心を込めて作り上げてきた、まるで宝物のような存在なのです。
どんな布なの?
モン族の古布は、その多様な色彩と繊細な模様が特徴です。主に、藍染めの深い青色を基調としながら、そこに赤や黄色、緑といった鮮やかな色がパッチワークのように縫い合わされています。藍染め(インディゴ染め)
モン族の暮らしに欠かせないのが藍染めです。植物から採れる染料を使い、何度も何度も布を浸しては乾かし、また浸しては乾かすという、とても手間のかかる作業を経て、あの深く美しい藍色が生み出されます。この藍色は、土の匂いや自然の恵みを感じさせる、心が落ち着く色合いです。
パッチワークと刺繍
古布には、小さな布切れを丁寧につなぎ合わせた「パッチワーク」の技法がよく見られます。これは、布を大切にする心から生まれたもので、色々な布を組み合わせることで、一枚の絵画のような表情が生まれます。また、その上には、モン族独自の幾何学模様や、動植物をモチーフにした「刺繍」が施されています。一針一針、物語を紡ぐように縫われた刺繍は、彼女たちの願いや祈り、そして日々の暮らしの喜びを映し出しているかのようです。
どうやって作られるの?
古布作りは、本当に根気のいる作業です。糸を紡ぐ
まず、綿や麻の植物から、繊維を取り出して糸を紡ぎます。機械を使わず、手作業で一本一本、丁寧に糸にしていくのです。
布を織る
紡いだ糸を、昔ながらの機織り機を使って布に織り上げていきます。ギッタンバッタンと、リズムカルな音が聞こえてきそうな光景ですね。
藍で染める
織り上がった布は、藍の液に浸して染められます。何度も繰り返すことで、鮮やかな藍色に染まっていきます。
模様を描く・刺繍をする
藍染めされた布に、蜜蝋で模様を描き、その部分だけが染まらないようにする「ろうけつ染め」の技法が使われることもあります。そして、最後に色とりどりの糸で、細やかな刺繍が施されます。
これらすべての工程が、手作業で行われるのです。想像してみてください。家族のため、そして自分たちの文化を守るために、どれほどの時間と愛情が込められていることでしょう。
どんな使われ方をするの?
モン族の古布は、元々は彼らの日常着や儀式で使う衣装、あるいは布団や赤ちゃんのおくるみなど、暮らしの中で大切に使われてきました。色や模様には、家族の幸せや健康を願う気持ち、そして魔除けの意味などが込められていると言われています。一枚の古布には、その布を作った女性の人生や、家族の歴史、そしてモン族の文化そのものが詰まっているのです。だからこそ、古布には不思議な温かみと、人々の想いが伝わってくるような魅力があるのですね。

もし、モン族の古布を目にする機会があったら、ぜひその一枚一枚に込められた手仕事の温かさや、人々の暮らしの物語を感じてみてください。それは、遠く離れたベトナムの山々に暮らす人々の、心温まる営みに触れることにも繋がるでしょう。





